JIN 完

南方仁というただの医者

婚約者の手術に失敗して植物人間にしてしまった医者

とうに自信をなくして積み償いとして夜勤番ばかりやり、難しい手術は避けまくる医者

それは自分への戒めと笑う人

 

 

 

 

それが

江戸では、到底助からない病人をその手で

満足いく場所も機材も薬もないところで

苦しみもがき葛藤しながら

自分の手で道を切り開いていく強い人

 

自分の命が侵されようとも

大切な人をその手で助けようと必死な人

 

 

 

私は医療の世界へ進み

大切な人を助けたかったんじゃないのか

 

お母さんがうつになった時

自分が助けてあげたいって密かに思ったんじゃなかったのか

きーのが喘息で苦しんでる時

かなちゃんが過呼吸で苦しんでる時

何もできない自分がくやしかったんじゃなかったのか

みんなが困って、助けて欲しいって思ってる時助けてあげたいって思ったんじゃなかったのか

 

母が看護師なのでってそれは照れ隠しで

本当は頼られるのが大好きで

助けてあげることが嬉しくて

優しさじゃなくて自己満かも知れないけど自分の存在意義を確かめたかったんじゃないのか

 

人を助けることは

それなりに労力が必要で

知識も技術も必要で

自分の行動が必ずしも良い方向へ向かうとは限らなくて

無力感

絶望感

つきまとうことだと思う

 

 

それでも私は

これから、自分の手で、自分の言葉で

何人の人を助けることができるだろうか

 

まだまだ知識も技術もないに等しい

授業であれだけ言われた医の心、仁に教えてもらうとは思わなかった

 

 

南方先生、

ありがとうございました。